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熊本式 鯉のぼりをお考えのお客様に

熊本式鯉のぼりは、独特な立て方です。
事例をもとにアドバイスさせていただいております。

はじめての矢旗祝い

木村さん(35歳、会社員)ご夫妻は熊本市のマンションにお住まい。昨年、第一子男の子の凛太郎くんがお生まれになりました。木村さんのご実家は菊池市で、庭のある一軒家。奥様(旧姓富田さんとお呼びします)のご実家は熊本市内です。

富田さんが正月に実家に里帰りしますと、実家の両親から「鯉のぼりはどうするの?」と尋ねられ、木村さんは早速、菊池の実家のお父様にご相談。すると、

おじいさま「鯉のぼりも、矢旗も庭に立てるよ。杉の木で。」
木村さん「杉の木って熊本式っていうやつ?」
おじいさま「男の子って聞いた時『矢旗が立てれる!』て思ったくらい嬉しかったんだよ。男児が産まれ、スクスク育っている。のぼりを立てて親族よんで凛太郎のお披露目、矢旗祝いをするよ。」

※この地方では端午の節句を矢旗祝いと言い、無事に跡取りが産まれたと宴席を設けます。

おじいさまがすでに庭のどこに立てるかまで決めていてびっくりなさった木村さんは、お爺さまと一緒に当店にご相談にお見えになりました。

実は木村さんがお産まれになった時(35年前)の鯉のぼりと矢旗を当店でお受けしており、当時何メートルの鯉をお買い上げ・・などの台帳も残っておりました。

ひいじいちゃんとひいばあちゃんとで来たよ。と懐かしい話になり、同じ場所に同じサイズでまた立てようと、うなずいておられました。(昭和58年以降、当店でお受けした旗の家紋は残しております)

そこで私は、「まず木村家(夫側)で鯉のぼりを・・」というふうに説明いたしました。

鯉のぼりは夫側から

熊本式鯉のぼり

熊本式鯉のぼりは、てっぺんに「その家を継承する赤ちゃんの名前」を掲げます。フルネームの姓名、その家の家紋が入りますので、鯉は男の子側(夫側)でご用意された方が、と申し上げました。

鯉の下には青い葉っぱが残してあり、バレン(竹であんだ籠のようなもの)、熊本式矢車、吹き流し、父鯉、母鯉、長男鯉、この3匹を泳がせます。第二子がお産まれになれば、子鯉を1匹足すという具合に増えていきます。

鯉のぼりの横にあるのが矢旗です。矢旗が1本又は2本と立っているのを見かけますが、矢旗は寄贈される方の家紋、わかりやすく言えばお金を出される方の家紋が入ります。どなたが贈られた旗か紋を入れるように白く地抜きされています。

よく3本柱と言いますが、3本立っている場合、木村家で木村家の家紋入りの矢旗を用意される場合が多いです。以前はご親族やお仲人様からのお祝いでいただく事もありましたが、近年では少なくなりました。

上の画像では、10mもの杉の木が3本立っています。スペースが足りないかも?と思われるお客様には、ポール型鯉のぼりの上に名旗の旗(小旗)を取り付ける事も出来ます。

奥様のご実家から矢旗を

その後、今度は奥様のご実家、富田家のご両親から「鯉のぼりを贈るのでしょうか?」とご質問をを受けました。

鯉のぼりをプレゼントされてもいいのですが、熊本式の場合は鯉のてっぺんに名前の旗が付き、紋も木村家の紋になる為、お祝いとして贈られた富田家のしるしを入れるところがないんです。「せっかくでしたら、矢旗を贈られては?」とお話しました。矢旗には家紋としてどなたが贈られたか、富田家の形をそこに入れるように作られております。

鯉のぼりと矢旗は、町中の方の目にふれ、何ヶ月もの間外にかかげます。のぼりの立ち姿に両家の家紋が揃えばいい塩梅ではないでしょうか。

染めるのに時間もかかりますが、矢旗が2本立つ場合、1本が古来からの戦いの絵柄、もう1本が現代的なデザインの旗になさるのも鮮やかで美しいと思います。矢旗の長さによって、木村家の竿の準備のご都合や、2本の矢旗の色や柄がたぶらない様にする。など、前もってわかっていると都合がよいと思います。この事例では、「うちから(富田家から)黒の矢旗の加藤清正の虎柄をお贈りしようと考えています。」とおっしゃっていいと思います。とアドバイスさせていただきました。

両家の家紋の入った矢旗

【両家の家紋が並んだ矢旗】

また矢旗の種類には、赤ちゃんの名前を7.5mに染め抜いた大名旗、かなり遠くからでもお名前がわかる逸品もあります。

大名旗

【名前を染め抜いた大名旗】

先ほど「鯉のぼりは夫側から・・」と申しましたが、奥様のご実家にお立てになる方、家紋にこだわらないお客様からのご相談など、多数です。

鯉のぼりは敷地にあわせ鯉の長さをお決めいただき、生地、色、鯉の鱗の立体感などは現物をお手に取られてゆっくりお選びください。吹き流しの白の部分に、家紋やお名前をお入れ出来るタイプもございます。

家紋入りの吹き流し

【家紋入りの吹き流し】

私が鯉のぼり、矢旗にたずさわって40年を過ぎました。毎年各々のご家庭の環境やお考えをお聞きする中、少しずつ以前と変わりつつあるなあと思う所もあり、いちがいにこうです。とは言えません。

長年、地元で携わってきた中で「あ〜あの時はこんな風にしたなぁ。」と引き出しの数は多いです。なんでもお気軽にお尋ね下さい。そして次世代に熊本の良き習慣やしきたりを語りつげたら・・・と思っております。

熊本式鯉のぼりは他県と異なり独特な立て方です。ご不明な点はお尋ね下さい。

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